研究課題/領域番号 |
12680811
|
研究機関 | 鳥取大学 |
研究代表者 |
岡本 宗裕 鳥取大学, 農学部, 助教授 (70177096)
|
研究分担者 |
伊藤 亮 旭川医科大学, 医学部, 教授 (70054020)
柴原 壽行 鳥取大学, 医学部, 助教授 (70116937)
|
キーワード | ネコ条虫 / ライブラリーワクチン / ラット / 防御抗原遺伝子 / Taenia科条虫 / 感染防御 |
研究概要 |
抗原遺伝子を組み込んだ真核細胞用発現ベクターDNAを直接生体内に注入することによりその抗原遺伝子産物に対する免疫応答を成立させるDNAワクチンは、次世代のワクチンとして期待されている。この発展型として、ライブラリーワクチン、すなわち真核細胞発現プラスミドベクターを用いて作成したゲノムライブラリーを直接注射する方法が考案され、実際にワクチン効果が認められたという報告もなされている。 一方、嚢虫症は公衆衛生上きわめて重要な寄生虫疾患であるが、嚢虫症対するワクチンの開発は、国内外ともほとんど実施されていない。本研究は、ラットーネコ条虫のモデル系とライブラリーワクチンの手法を用いて、嚢虫感染に対する防御抗原を検索し、DNAワクチンを開発することを目的とし、以下の手順で実験を実施している。 (1)ネコ条虫のオンコスフェアの精製:感染ネコより十分量の虫卵を収集し、人工腸液により虫卵を孵化させてオンコスフェアを得る。(2)オンコスフェアからのmRNAの抽出とcDNAライブラリーの作成:オンコスフェアからmRNAを抽出し、真核細胞発現プラスミドを用いてcDNAラブラリーを作成する。CHVプロモーターを持つものを中心に、数種のライブラリーを作成する。 昨年度は、ネコ条虫の虫卵からのライブラリーワクチンの作成を試みたが、得られたmRNAの量が少なく、免疫に適するライブラリーが作成できなかった。そこで今年度は、ネコ条虫の成虫よりmRNAを抽出しライブラリーを作成した。その結果、得られたmRNAは十分量でありライブラリーも作成できたが、insertのサイズが小さく免疫には不十分であった。現在、もう一度ライブラリーの作成を試みている。また、免疫を実施するラット系統を決めるため、種々のクローズドコロニーにネコ条虫の虫卵を投与した。その結果、同じ名称のクローズドコロニーでも生産者によってかなり感染性に差が認められた。SLCのWistarrラットがもっとも高感受性を示したため、以下の実験にはこのラットを用いることとした。
|