1.薬剤選別とクローン化が可能なぐらい良く増える細胞種を見つけるため、成体カエルの肝臓、精巣、卵巣、動脈、骨格筋、心臓のそれぞれから初代培養および、継代培養を行った。組織をコラーゲナーゼとトリプシンで消化したのち、細胞を分散させ、血清を含む培溶液中で培養した。その結果、肝臓、精巣、卵巣、大動脈ではさほど顕著な増殖はみられなかったが、心臓からの培養では顕著な増殖がみられた。Population doubling timeで50回ぐらいまでの分裂が可能であった。培養初期の増殖さかんなころには1週間のあいだに10倍の細胞数の増加が観察された。しかし1/10の希釈で継代を10回繰り返すころには増殖の速度は半分以下に遅くなり、また培養ウエル中での最大細胞数も減少した。細胞の形態もおおきく広がったようなかたちへと変化した。これらのことはカエル心臓細胞における'ヘイフリックの限界'の存在を示すと考えらる。つまりこの細胞は正常細胞の範囲に止まっており、癌化の兆しが現われていないことが示唆された。 2.上記の心臓細胞は-80℃にて冷凍保存可能であった。 3.上記の心臓細胞を用いて、クローン培養を試みた。限界希釈法、少数播種法をおこなっているが、今のところ、クローン増殖の条件は見つかっていない。薬剤に対する抵抗性によって選別したあと、1個の細胞からクローナルに細胞を増やすにはECM成分をクローン初期に補給するか、またはConditioned mediumの添加などの工夫が必要と予想された。 4.成体足および幼生の尾由来の細胞の増殖性も調べ、クローン化を試みた。16mmウエルあたり110細胞まくと筋分化コロニーが観察された。それ以下の播種数だと分化コロニーはみられなかった。
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