研究課題/領域番号 |
12680821
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
野村 保友 北海道大学, 電子科学研究所, 助手 (80237883)
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研究分担者 |
西村 吾郎 北海道大学, 電子科学研究所, 助手 (30218193)
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キーワード | 燐光寿命 / パラジウムポルフィリン / 共焦点顕微鏡 / 低酸素誘導因子 / 細胞内酸素濃度 / Qスイッチ-NdYAGレーザー |
研究概要 |
生体が遺伝子レベルで低酸素に適応するときの細胞内酸素濃度を明らかにすることを目的として、本年度は燐光寿命測定系の確立を目指した。申請時のプロトタイプの燐光寿命測定システムを大幅に改良した。以前用いたフラッシュランプ光源をQスイッチ-NdYAGレーザーの2倍波に交換した。この光源は繰り返しが速く、単色で安定であることが長所である。これにより測定系の同期が可能となった。また以前は光学測定用の1センチ角のキュベットを用いていたが、培養細胞測定のために顕微鏡を導入して光学系を改良し、特に細胞質、オルガネラなど細胞内の特定部分を測定できるように共焦点光学系を用いた。光源の改善及び顕微鏡の導入によって、安定した燐光寿命を測定でき、その寿命の値は文献値とよく一致した。また、密閉型のセルで長時間露光の実験を行うと、この寿命の値は増加することから溶存酸素との光化学反応が予想された。反応のメカニズムは現在検討している。培養細胞を顕微鏡下で生存させるために、閉鎖型フローセルを組み立てた。顕微鏡観察用に上下面をカバーグラスで覆い、底面のカバーグラス上で細胞を接着培養することにした。70マイクロリットルの微小な空間を流れる灌流液の酸素濃度を必要な酸素分圧になるようにバブリングした。パラジウムポルフィリンを血清アルブミンの疎水性領域に取り込ませたプローブを灌流液に溶け込ませることで燐光寿命を測定できた。細胞の活性は温度に敏感なので、灌流液とフローセルを暖めることで、正確に温度コントロールができるようにした。来年度はこの測定システムを用いて培養細胞の酸素濃度を評価し、メッセンジャーRNAやタンパクの発現と対応させる予定である。
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