本研究では、ヘッドマウントディスプレイと脳波を用いた視線入力インタフェースを開発することを目的として、下記の具体的課題を設定し研究を行った。 課題1.視線入力インタフェースの補助として、指定位置を見たかを脳波で判別する。 課題2.脳波から視点判別できるような適切な視覚刺激を調べる。 課題3.ヘッドマウントディスプレイ使用時に使える簡易な視点領域測定法を開発する。 課題1では、視線入力で発生する誤入力を防ぐために、視線で「選択した文字」が、「選択しようとした文字」かを、脳波によって判別する方法を検討した。研究では、実際に見た文字背景が赤く変化した場合の脳波を正判定脳波、実際に見た文字の隣の文字背景が赤く変化した場合の脳波を誤判定脳波として、正判定脳波と誤判定脳波の判別を試みた。その結果、1)脳波の1時点振幅情報だけでは、脳波判別率が向上しない。2)脳波中から時間再現性のある特徴波形を抽出して判別に用いる方法が有効である。3)背景脳波を効果的に除去する方法を考えないと、その特徴脳波が抽出されない。4)適切な刺激を用いないと特徴脳波自体が発生しない可能性がある。ことなどが明らかになった。 課題2では、1)使用者の負担が大きいことなどから、10秒以上の光点滅刺激が必要な脳波光駆動現象に着目した視点判別は実用的でない。2)背景脳波を除去することによって、5秒程度の光点滅刺激を用いれば、視覚誘発反応を利用した視点判別が行える可能性がある。ことなどが明らかになった。 課題3では、1)交流眼電図から視点領域を判定できるアルゴリズムを開発した。2)開発したアルゴリズムを用いると、水平方向では約90%の割合で視点領域を特定できる。3)垂直方向の視点領域の判別では、瞬きの影響や垂直方向での電位変化が少ないという眼電図の特徴により、視点領域判定精度が下がる。ことなどが明らかになった。
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