(1)自己相関関数法による血流測定: 自己混合型半導体レーザ(SM-LD)スペックル血流計の信号処理方法として、スペックル信号の自己相関関数から求めた相関時間の逆数を用いた場合も、平均周波数法と同様に、相関時間の逆数は血流速度に対して直線的に変化したが、オフセット周波数がさらに小さくなるので、自己相関関数法も有効である。 (2)SM-LDスペックル血流計と市販の血流計との比較: SM-LDスペックル血流計を用いて、人体上腕部の圧迫の度合いを加圧包帯や短時間ごとに調節して、測定した指球部の平均周波数(平均時間2秒)の時間変化は、市販の非接触血流計で同時に測定した血流速の時間変化と傾向が良く一致した。一方、SM-LDスペックル血流計の平均時間を0.02秒に設定して測定した、指球部に対するスペックル周波数の時間変化は、市販の超音波ドップラー血流計で測定した血流速の心拍による時間変化と傾向がかなり良く一致したので、人体表在付近の毛細血管の血流速の相対値の時間変化を測定できる見通しを得た。 (3)SM-LDスペックル血流計の目盛り付け: 超音波ドップラー血流計とSM-LD血流計で5秒間計測した血流速波形のピーク値を平均して、比較することにより、血流速40mm/s-130mm/sの範囲で、13Hz/mmsの感度を得た。この値は、回転ターンテーブルの溝に入れた羊全血についての感度22Hz/mm/sに比べてかなり小さく、内径1mm、外径2mmシリコンチューブに羊全血を流したときの感度15Hz/mmsと同程度であった。 (4)皮膚ファントムとチューブを用いたシミュレーション実験: 羊全血とイントラリピドを寒天に分散固定した皮膚ファントム板と静脈模擬チューブを用いた血流測定のシミュレーション実験では、血流測定可能深さは1mm以下であることを確認し、指球部毛細血管内の血流を測定していると推定できた。なお、同上のファントムが動いている状態では、血液からの情報が殆ど得られないことが分かったので、アーチファクトの影響を軽減することが今後の課題である。
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