本研究は平成12年度〜14年度の3年間の研究計画によって構成されている。平成14年度の計画は、(1)細胞接着性・抗血栓性を有する細胞呼ぴ寄せ型弾性ポリペプチドの細胞接着性、(2)細胞接着性・抗血栓性を有する細胞呼び寄せ型弾性ポリペプチド抗血栓性、(3)細胞接着性・抗血栓性を有する細胞呼び寄せ型弾性ポリペプチドの細胞遊走能、(4)細胞接着性・抗血栓性を有する細胞呼び寄せ型弾性ポリペプチドの生体適合性試験の検討であった。前年度に作製したGly-Val-Gly-Val-Pro配列を基盤にしてGly-Arg-Gly-Asp-Ser-Pro配列を1/500、1/100、1/60、1/40、1/20の割合で導入入したポリペプチドはGly-Arg-Gly-Asp-Ser-Pro配列の導入が増すにつれて細胞接着性が増加した。。また前年度に作製したGly-Val-Gly-Val-Pro配列を基盤にしてVal-Gly-Val-Ala-Pro-Gly配列を1/50あるいは1/10の割合で導入したポリペプチドはVal-Gly-Val-Ala-Pro-Gly配列の導入が増すにつれて弾性機能と密接に関連する自己集合能が低下するという欠点が認められた。しかしVal-Gly-Val-Ala-Pro-Gly配列はモノマーよりもポリマーの方が抗血栓性が高いという結果も得られ、おそらくVal-Gly-Val-Ala-Pro-Gly配列の導入が増すにつれて抗血栓性が増加する可能性が示唆された。さらに細胞接着性・抗血栓性を有する細胞呼び寄せ型弾性ポリペプチドの最も重要な基盤となるGly-Val-Gly-Val-Pro配列の生体適合性を各種の生物試験(Amesテスト、Hemolysisテスト、Cytoxicityテスト、Systemic toxicityテスト、Intracutaneous toxicityテスト、Muscle implantationテスト、Intraperitoneal implantationテスト、Systemic antigenテスト、Sensitizationテスト、Pyrogenテスト)により検討したところ、Gly-Val-Gly-Val-Pro配列は材料としての生体適合性が認められた。
|