研究概要 |
平成12年度から平成14年度までの3年間及び平成15年度(1年間延長)の計4年間の研究成果の概要を述べる。まず平成12年度はエラスチンの自己集合及び弾性機能に重要な役割を担っているペプチド配列Val-Pro-Gly-Val-Gly及び細胞遊走作用をもつ細胞呼び寄せペブチド配列Val-Gly-Val-Ala-Pro-Glyの2種ポリマーであるpoly(Val-Plo-Gly-Val-Gly)及びpoly(Val-Gly-Val-Ala-Pro-Gly)を作製した。また細胞接着性ペプチド配列Gly-Alg-Gly-Asp-Serがフィブリノーゲンと血小板の結合による血小板凝集を阻害するという抗血栓性を有することを見い出し、細胞接着性・抗血栓性ペプチド配列としてGly-Arg-Gly-Asp-Serを用いることにした。平成13年度は上記のペプチド配列Val-Pro-Gly-Val-Glyを基盤して、上記のペプチド配列Val-Gly-Val-Ala-Pro-Glyを1/10当量及び1/50当量導入した2種の細胞呼び寄せ型ランダムコポリマーpol[(Val-Pro-Gly-Val-Gly),0.1-0.02(Val-Gly-Val-Ala-Pro-Gly)](以下hp10及びhp50)を作製し、さらに上記のペプチド配列Val-Pro-Gly-Val-Glyを基盤して、細包接着性・抗血栓性ペプチド配列Gly-Arg-Gly-Asp-Serを1/500〜1/20当量導入した5種の細胞接着性・抗血栓性型ランダムコポリマーpoly[(Val-Pro-Gly-Val-Gly),0.002-0.05(Gly-Arg-Gly-Asp一Ser)](以下pp20-500)を作製した。平成14年度は前年度に作製したhp10及びhp50の細胞遊走活性を検討し、hp50よりもVal-Gly-Val-Ala-Pro-Gly導入量が大きいhp10が高い細胞遊走活性をもつ結果が得られた。またpp20-500の細胞接着活性を検討しGly-Arg-Gly-Asp-Ser導入量の増加に伴って細胞接着活性が増加する結果が得られた。hp50よりもhp10が高い細胞遊走活性を示したが、材料の弾性特性の指標である自己集合特性が低下したため、平成15年度にはVal-Gly-Val-Ala-Plo-Glyの導入を1/100及び1/500に減少した2種のランダムコポリマーhp100及びhp500を作製したが、自己集合特性には改善の変化がみられず、細胞遊走活性は低下するという結果になった。さらに疎水性の大きいアミノ酸残基の導入などを検討する予定である。
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