研究課題/領域番号 |
12680839
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研究機関 | 大阪府立大学 |
研究代表者 |
河野 健司 大阪府立大学, 工学研究科, 助教授 (90215187)
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研究分担者 |
丸山 一雄 帝京大学, 薬学部, 助教授 (30130040)
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キーワード | デンドリマー / ナノカプセル / 薬物送達システム / ナノバイオ / ナノ材料 / フォトダイナミックセラピー / ターゲティング / 生体材料 |
研究概要 |
生体適合性表面をもつ単分子ナノカプセルとして、すべての末端にポリエチレングリコール(PEG)鎖を結合したポリアミドアミンデンドリマーを設計し、その薬物送達システムへの応用について検討している。平成13年度は、内部に薬物を安定に封入するためのシェル構造をもったPEG修飾デンドリマーの構築を行った。すべての末端にグルタミン酸-γ-ベンジルエステルやフェニルアラニンを結合したPEG修飾デンドリマーを合成した。これらのPEG修飾デンドリマーによるローズベンガルの結合と保持について検討した結果、疎水性アミノ酸残基をもつPEG修飾デンドリマーは、ローゼベンガルをより安定に結合、保持することがわかった。一方、ローズベンガルはフォトダイナミックセラピーのための光増感剤として用いられている。そこで、この疎水性シェルをもったPEG修飾デンドリマーを用いたローズベンガルの細胞へのデリバリーについて検討した。フリーのローズベンガルは主に細胞膜に吸着したが、デンドリマーに保持されたローズベンガルは細胞内の核以外の部位に存在することがわかった。また、デンドリマーに保持されたローズベンガルと処理した細胞は、フリーのローズベンガルと処理した細胞に比べて、より強い光感受性を示したことから、このデンドリマーはフォトダイナミックセラピーのためのローズベンガルの運搬体として利用できるものと考えられる。さらに、細胞内において保持した薬物を放出する刺激応答性ナノカプセルとして、システイン残基を含むPEG修飾デンドリマーを設計、合成し、その環境応答性について調べた。その結果、このデンドリマーとローズベンガルとの結合挙動は、酸化的環境において抑制されるが、還元的環境において促進されることがわかった。
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