研究課題/領域番号 |
12680850
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研究機関 | 桐蔭横浜大学 |
研究代表者 |
佐藤 敏夫 桐蔭横浜大学, 工学部, 専任講師 (90308552)
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研究分担者 |
竹内 真一 桐蔭横浜大学, 工学部, 専任講師 (50267647)
川島 徳道 桐蔭横浜大学, 工学部, 教授 (90112888)
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キーワード | 超音波造影剤 / ドラッグデリバリーシステム / ターゲティング / ビオチン化 / 磁性マイクロバブル / キャビテーション / 活性酸素 / 癌細胞 |
研究概要 |
微小気泡超音波造影剤に特定の標的をターゲティングする機能を持たせる方法として、(a)微小気泡の表面をビオチン化する生化学的方法と、(b)微小気泡の表面に磁性体を吸着させ、外部磁場で誘導する物理的方法の2種類の方法について基礎検討し、両者の方法とも流れのない静水状態では特定の標的をターゲティングできることが確認できた。また、実際の応用を想定した擬似血管モデル内の流れの中におけるターゲティング能力についても、低流量では標的をターゲティングできることが一部確認できた。しかし、流量が増加するにつれて、そのターゲティング能力が著しく低下することもわかった。 そこで、上記問題点の克服に関する研究を進めるとともに、音響キャビテーションを応用した新しい方法に関する調査も開始した。溶液内に強力超音波を照射し、キャビテーションを発生させると、それによって水分子がH_2O→H^・+O^・とラジカルに開裂し、活性酸素種の一つであるOH^・(ヒドロキシルラジカル)が発生する。さらにキャビテーションにより発生する微小気泡は、周囲の生体組織と著しく音響インピーダンスが異なり、超音波の散乱特性に優れていることから、超音波造影剤としても大いに診断画像の画質向上が期待できる。すなわち、人体内の問題のある部位、例えば各種臓器の腫瘍や癌細胞などの疾患を持つ組織のごく近傍で選択的にキャビテーションを起こすことができれば、その様子を超音波診断装置で観察しながら、さらにそこで局在的に発生する活性酸素による癌細胞の死滅の過程を超音波診断装置を使って、リアルタイムに診断できるという従来にない画期的な治療方法が実現できる可能性がある。 研究ではまず、我々が作製した音響キャビテーション発生装置により発生する活性酸素種の同定および定量に関して、ESR (Electron Spin Resonance)法を使って明らかにすることができた。次に、キャビテーションで発生した活性酸素が癌細胞に与える影響について検討した。実験では、10%牛胎児血清を含むRPMI1640培地で培養したマウスの胸腺リンパ系癌細胞(EL-4)を使用し、超音波照射システムを使って、強力超音波を癌細胞に照射したところ、超音波照射を受けた癌細胞が、培養時間の経過とともに減少していくことが確認できた。
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