研究課題/領域番号 |
12680851
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研究機関 | 愛知医科大学 |
研究代表者 |
杉山 由樹 愛知医科大学, 医学部, 助教授 (50240809)
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研究分担者 |
岡田 暁宜 愛知医科大学, 医学部, 助手 (20319320)
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キーワード | 神経性循環調節 / 多変量自己回帰モデル / 筋交感神経活動 / 圧受容器反射機能 / マイクロニューログラフィ / インパルス応答 / システム同定 / 頸部チェンバー法 |
研究概要 |
本研究は、多変量自己回帰モデルをヒトの神経性循環調節システムに適用し、心機能と血管運動性交感神経活動の両要因を含む神経性循環調節システムを一元的に解析し、統合的にシステムを同定することを目的とする。平成12年度は解析システムの構築、実験データの取得および得られた実験データに対する解析システムの適用を行なった。1)解析システムの構築:ワークステーションSun SolarisにFortran77とCALCOMP社グラフィックライブラリをインストールした。その上で、赤池、北川、和田らの報告に基づき、多変量自己回帰モデルのプログラムを移植した。また、自己回帰係数からインパルス応答を求めるプログラムをMATLAB言語で作成した。2)実験データの取得:人工気候室において健康な若年男性被験者12名を対象に体位傾斜ベッドと下半身チェンバーを用いて安静、6°ヘッドダウン、起立位および下半身陰圧あるいは陽圧負荷実験を行った。同時に、頸部チェンバー法による圧受容器反射機能を計測した。心電図、血圧波形、マイクロニューログラフィによる血管運動性交感神経活動(筋交感神経活動)をデータレコーダに収録した。心電図RR間隔、平均血圧、血管運動性交感神経活動(申請の積分計を用いて全波整流積分波形から得る)の時系列データを作成した。3)神経性循環調節システムの同定:実験で得られた時系列データについて多変量自己回帰モデルによる解析を行った。システム同定に必要なデータ長、モデル次数を決定した。得られた多変量自己回帰係数から圧受容器反射機能と効果器の反応の伝達特性(インパルス応答)を求めた。 5分間のデータから再現性のある自己回帰係数が得られ、モデル次数は赤池の情報量基準をもとにすると4〜9次であった。ノイズ寄与率からMayerリズムが血圧変動と筋交感神経活動の相互作用として生じていることが示された。さらに、インパルス応答から圧受容器反射機能と自律神経活動から体血圧への伝達特性が定量的に求められ、多変量自己回帰モデルは、複雑なフィードバックシステムの記述に有用であると考えられた。
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