研究概要 |
細胞接着活性を有するオリゴペプチドRGDS、EILDV、YIGSR、IKVAV等やRGDSミメティックペプチドを液相法により合成し元素分析、アミノ酸分析、MALDI-TOF-MS、NMR等により合成されていることを確認した。また、Har-Gly-Asp-Ser(hRGDS),Can-Gly-Asp-Ser(CaGDS),Arg-Nip-Asp-Ser(RNiDS)の合成において最終脱保護をTFMAS処理からHF処理に代えることにより収率・純度の両面において著しい向上が見られた。 RGDSおよびRGDSミメティックペプチドをポリビニルアルコール(PVA)フィルム上に固定化し、マウス由来線維芽細胞L929を用いて細胞接着活性試験を行った。その結果、hRGDS, RN7DSおよびRGDSをPVAフィルム上に鉦水コハク酸を用いて共有結合法により固定化したところ、未修飾フィルムに比べて両者とも劇的に細胞接着の向上が見られた。また、ペプチドとPVAフィルム間にスペーサーを導入すると、スペーサーを導入していないものと比較すると培養24時間後には2倍以上の細胞接着が観察された。 これらに加えて、RGDS配列を有し、特定の2次構造を構築するペプチドを分子設計した。RGDSのN, C両末端にβ-シート構造を有する40残基程度のペプチドを合成したところ、設計通りにβ-シート構造を構築し、さらには水溶液中では不溶化し生体材料として有望であることが明らかになった。また、細胞接着活性も保持されていた。 さらに、人工細胞外マトリックス構築のために、アルギン酸を用いたハイドロゲルの設計を行った所、アルギン酸の構造と架橋剤をコントロールすれば種々の含水率のゲルが調製できる事が明らかになった。また、ラットの皮下アルギン酸ハイドロゲルを埋入したところ約7日で分解し、炎症反応も少ないことが明らかになった。 以上のことが平成13年度の研究で明らかになった主なものである。
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