生体高分子材料のモデルとしてポリエステルフィルムをとりあげ、周波数60-220MHzにおいて音速、減衰係数、音響インピーダンスの周波数特性および密度を、生体超音波スペクトロスコピー・システムを用いて測定した。その結果、この周波数帯における音速と減衰係数の周波数依存性を明らかにした。さらに、音響特性の温度依存性を20〜26℃の範囲において測定した。温度が高くなるにつれて、減衰係数は大きく、音速は小さくなることがわかった 速度分散をもつ試料の音速の周波数特性を連続的に測定するため、複素量計測を用いた音速測定法を導入した。液体試料として水を、固体試料としてポリエステルフィルムを取り上げ、100〜200MHzにおける音速の周波数特性を測定した。この周波数帯で速度分散がないとされる水では、音速は一定であり、ポリエステルフィルムでは、変化率で0.02(m/s)/MHzオーダーの速度分散が認められた。 本申請者は、減衰係数の周波数特性のべき乗特性を超音波によるキャラクタリゼーションの指標とすることを提唱してきた。超音波の吸収機構のモデルとして単一緩和過程を仮定し、数値計算を行ったところ、べき条特性と緩和のパラメータの関係を明らかにすることができた。生体高分子溶液として、濃度25%のブドウ糖水溶液の減衰係数を超音波周波数20-700MHzの範囲で測定した。この測定データに対して数値計算を行うことにより、緩和時間と緩和のパラメータを決定することができた。
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