研究課題/領域番号 |
12680856
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研究機関 | 国立循環器病センター |
研究代表者 |
佐田 正晴 国立循環器病センター研究所, 実験治療開発部, 室長 (20162399)
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研究分担者 |
藤里 俊哉 国立循環器病センター研究所, 実験治療開発部, 室員 (60270732)
中谷 武嗣 国立循環器病センター研究所, 実験治療開発部, 部長 (60155752)
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キーワード | 血管新生 / 生体吸収性材料 / 糖尿病 / 細胞移植 / 組織工学 / 再生医学 |
研究概要 |
膵臓ランゲルハンス氏島のみを移植する膵島移植は、簡便な上に移植膵島の機能が廃絶しても摘出の必要はなく、再移植も可能という利点があるが、膵移植に比べて成績は悪く、最近の症例においても1年後インスリン離脱率は30%程度である。その理由は未だ不明な点も多いが、単離処理における膵島機能低下とともに、移植部位における膵島周囲の環境が重要な要因の一つであると考えられる。そこで我々は、膵島があたかも臓器のような袋状の膜に覆われた十分に血管組織の存在する部位に移植され、十分な栄養と酸素が供給されたなら、膵島はよりよく機能発現できるであろうと考えた。本研究では、人工基材を血管進入用の開口部をもつ袋状半透膜で覆って体内へ埋入することによって血管豊富な人工組織を予め作出しておき、後日袋内部に膵島細胞を移植することで「異所性膵臓」を開発することを目標とする。本年度は、移植基材としてポリグリコール酸(PGA)不織布を用い、動物体内へ埋入して周囲組織の進入と血管新生を組織学的に検討するとともに、周囲を覆う半透膜の作製について検討した。PGA不織布を直径15mm、厚さ0.5mmの円盤状に切断し、線維芽細胞増因子(FGF)を含有するコラーゲンゲルをPGA繊維内部に含浸させた。ハムスター背部皮下に前記移植床の内部部分を埋植し、所定期間経過後に摘出して周囲組織の侵入と血管新生について組織学的に検討した。その結果、FGFを1μg/ml含有するコラーゲシゲルを繊維内に含浸する事で、埋植2週間後には豊富な新生血管が観察できた。また、周囲半透膜にはグルコースなどの低分子に対して良好な透過性を有する含水率97%のポリビニルアルコールゲルを、ポリエステルメッシュを補強材としてグルタルアルデヒド架橋法によりゲル化させることで、袋状移植床を作製できることがわかった。
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