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2001 年度 実績報告書

年代記載資料を伴う内外伝世品の調査分析を基礎にした近世蒔絵史の研究

研究課題

研究課題/領域番号 12710028
研究機関独立行政法人国立博物館京都国立博物館

研究代表者

永島 明子  独立行政法人国立博物館京都国立博物館, 学芸課・工芸室員 (90321554)

キーワード漆 / 輸出漆器 / 工芸 / 蒔絵 / 美術史 / 多国籍 / 異文化交流 / 貿易
研究概要

本年度は当初の計画どおり、イギリスの貴族階級に属する個人コレクターの邸宅に赴き、調査を行った。城内の図書室や地下の収蔵スペースに展示・保管されている江戸時代中期の作と思われる輸出漆器を数十点、詳細に観察し、調書を取り、撮影を行った。ただし、このコレクションについては、オリバー・インピー博士が目録出版を予定しているため、その出版以前に詳細を公表しないよう、所蔵者から依頼された。当初の計画では、国内の調査も進める予定であったが、国外の博物館を見学する研修の機会を得たため、経済効率を重視し、渡航滞在費のみで調査費のないこの研修に本補助金を活かす形で、海外での調査に専念することにした。ロシア、フィンランド、スウェーデン、ノルウェー、デンマーク、アメリカの各国のコレクションを調査、撮影した。主要な美術館、博物館施設に伝世している作品を通じて、17世紀から20世紀初頭にかけて、それぞれに国力の強かった時期に東洋趣味の作品が多く輸入されている状況を目の当たりにすることができた。特にデンマークとスウェーデンでは王室のコレクションの中に十七世紀中に渡航期の下限を求めることのできる日本の蒔絵類が多数伝世しており、これらの実見は今後の研究を進める上で一つの基準となる記憶を作り得た。またアメリカでは近代日本の美術史黎明期に関わった人物たちが収集した漆器とともに収集品に関わる手記類のあることがわかり、今後の調査の対象を広げることができた。最後に、十把一絡げにされている小型の輸出漆器であるが、おおよそながら江戸時代中期の作と近代以降の作とが見分けられるようになったのも、この二年間の調査の積み重ねによる一つの成果であるといえる。

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公開日: 2003-04-03   更新日: 2016-04-21  

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