【ストレスのメンタル・モデル】ストレッサーが無気力を引き起こすメカニズムについて、一般人が持っている素人理論を自由記述式質問紙により調査した。その結果、「ストレスが溜まったり、エネルギーを消耗する」ことで無気力が生じるとするエネルギーモデル、「何をしてもうまくいかないであろう」といった無力感が無気力を引き起こすとする認知モデル、「不適切な対処を繰り返すことにより悪循環に陥り社会から孤立していく」という動的モデルなどの諸類型を見いだした。【ペア・リラクセーションのストレス解消効果】二人一組でおこなうペア・リラクセーションが身体感覚、気分、および自律神経系の指標に与える影響を実験により検討した。その結果、数十分間のペア・リラクセーションにより身体感覚や気分に望ましい変化が生じること、および被験者が一人でおこなうシングル・リラクセーションに比較して心拍数が大きく減少することが明らかになった。【快感情がもつストレス解消効果】快感情が不快感情の主観的、生理的反応を解消することをイメージ誘導法を用いた実験により検証した。その結果、リラックス場面のイメージは不快感情により増加した心拍数を減少させる効果があった。喜び場面のイメージは、リラックス場面よりも、主観的な不快感を解消する効果があった。【ストレッサーの気づきにともなう対処法の変化】:従業員が職場のストレッサーを認識することの効用を、単一事例研究法のABデザインに従った準実験により検討した。職務を共有する営業職3名と事務職3名の計2グループを作成し、従属変数として職場ストレスへの評価と対処法を質問紙により測定した。ベースライン測定後、各グループ毎に職場のストレッサーの明確化と共有を目的としたディスカッションをおこなった。その結果、ディスカッション後に多くの被験者で回避型対処の使用が減少するとともに問題焦点型対処の使用が増加した。
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