研究概要 |
自分から環境に働きかけた結果として得た刺激と,意図とは無関係に自動的に与えられた刺激に対する認知情報処理の違いを,事象関連電位(ERP)を用いて検討した. 大学生・大学院生16名に,1940Hz(Standard),2000Hz(Target),500Hz(Non-target)の純音をそれぞれ75.0%,12.5%,12.5%の確率でランダムな順序で呈示し,Targetに対してボタン押し反応を求めた.SELF条件では,被験者がトリガーキーを押した直後に刺激を呈示した.AUTO条件では,SELF条件と同じ間隔で自動的に刺激を呈示した. SELF条件では,AUTO条件に比べて,逸脱刺激であるNon-targetに対するERPのP3a成分の振幅が増大したが,課題関連刺激であるTargetに対するP3b成分の振幅には条件差がなかった. 本年度の研究により,被験者が自分から環境に働きかけて得た情報は,自動的に与えられた情報とは異なって処理されることが明らかになった.インタラクティブな環境では,自動的に情報が与えられる環境よりも,被験者は自分の行為の結果として生じる事象について強い期待や構えを持っている(そのため逸脱した事象に対してより大きな脳電位反応が生じる)と推測された. 本研究の成果の一部は,第18回日本生理心理学会学術大会(2000.6.28,札幌),第27回国際心理学会議(2000.7.26,Stockholm),第30回日本臨床神経生理学会大会(2000.12.14,京都)で発表した.
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