研究概要 |
平成12年度は,欧米の留学生に対する調査を計画していたが,多変量解析に耐えうる対象者の確保が難しく,調査の実施が不可能であった。そこで,7名の留学生を対象に面接調査を実施した。その結果,(1)留学生の援助に対する意識は,ヘルパーによって異なっており,特に教官に対しては,自己の成績評価との関連で援助を求めにくい雰囲気があること,(2)留学生が勉強以外の問題を教官に相談する際,解決に有効なアドバイスが得られるかどうかが心配なこと,(3)留学生が問題に遭遇した場合に,すぐに専門家に相談するのではなく,まず自分で解決を試み,その次に友人や家族など(ボランティアヘルパー)に相談し,それでも解決しない場合に,専門的ヘルパー,役割的ヘルパーに相談すること,が明らかになった。この結果は,平成11年度に文部省科学研究費の助成を受けて実施した量的調査の結果を確認した形になった。 そこで,質的(面接)調査と量的調査の結果をあわせて,留学生の援助の実践にどのように結びつくかといことを再検討した。検討するにあたっては,まず,各大学の留学生センターや留学生専門教育教官の援助実践の論文をレビューし,次に,調査結果を再検討した。 その結果,(1)専門的ヘルパーや役割的ヘルパーだけではなく,ボランティアヘルパーを巻き込み援助体制を確立する必要があること,(2)援助に対する心配を低める活動として開発的カウンセリングを実施する必要があること,(3)留学生が持っている被援助志向性を尊重しながら,被援助志向性が低くても援助が受けられる方法を開発する必要性を指摘し,ヘルパーと対面しなくても問題解決のための情報が入手できる電子通信メディアや電話を利用した援助方法が検討された。
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