研究概要 |
本研究の目的は、小・中学校における児童・生徒の反抗的問題行動に及ぼす教師側対応の影響を明らかにすることであった。特に、児童・生徒の挑発的機能を持つ行為と教師のそれに対する対応から展開される相互作用を分析するために、平成12年度から平成13年度にかけて,次のような調査を行った。(1)中学校の教師350名を対象とした調査,(2)12の中学校の生徒指導・教育相談担当教員からの聞き取り調査,(3)3つの中学校への介入調査,(4)教師との関係が悪化し外部機関での教育相談を求めた事例(中学男子)に対する介入. 以下のような結果が得られた. 教師側の対応については,「他の生徒への望ましくない波及効果を早期に防ぐことに関心が向きやすいタイプ」,「生徒の中のストレス反応の表出ととらえるタイプ」,「教師を挑発するないしは,教師の関心を引くための行為と理解することが多いタイプ」に大別できる. これらの捉え方のタイプの違いが,「早期に厳しく対応する」,あるいは,「心理的背景(友人関係,家族関係)の情報収集と教育相談的対応を考える」,「欲求不満的な傾向に対応を考える」といった具体的対応の違いを強く説明していたケ. また,学校への介入,事例に対する援助から,いったん生徒と教師の関係が悪化した状況にある場合は,一定の冷却期をおく間に,生徒および教師双方の視点をそらすような援助をおくことで,問題が比較的早期に解決することも確認された. 当初計画した,小学校高学年における介入研究を行うことは達成できなかったが,中学校における荒れを問題が深刻になる前にどのように対応するか,あるいは,一度深刻化した関係を改善するためのきっかけづくりに関する基礎的資料が得られた.
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