本研究は、現職教員及びスクールカウンセラーに対し効果的なカウンセリング訓練法を開発することであった。平成12年度には、カウンセリングの効果的な訓練法について北米の研究を概観し(生徒指導と心の教育)、その訓練法を現職教員及びスクールカウンセラーを目指している大学院生に対して実施し、その効果を検証した(カウンセラーの反応と柔軟性の変化)。それらの結果から、学校現場で求められているカウンセリングとそれ以外のカウンセリングでは、その対象、方法、目標が異なり、訓練法もそれに応じて変える必要があることが明らかとなった。また、学校現場では、長期より短期、自身の変化より問題の解決、カウンセリングよりコンサルテーションが効果的であると考察した。そのため、平成13年度には、学校現場でのカウンセリングに焦点をあて、カウンセリング的対応がもっとも求められている養護教諭の訓練法を開発し、その効果を検証した(養護教諭の共感的理解を高める自己研修法)。次にスクールカウンセラーが配置されている中学校において、その利用方法、生徒や保護者のスクールカウンセラーに対して抱いているイメージ、スクールカウンセラーを利用するにあたっての妨げなどについて調査した(中学生とその保護者の相談に関する意識調査)。その結果、生徒も保護者もカウンセリングやスクールカウンセラーに対しておおむね肯定的なイメージを持っており、現段階では利用していなくても、将来的には利用したいと思っていることがわかった。また特に、他者に対して不信感を抱いている者ほど、スクールカウンセラーに相談したいと思っていることも明らかとなった。今後は、これらの結果を踏まえ、大学院におけるスクールカウンセラーの訓練方法を開発し、その効果を実証していく必要があると思われる。
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