研究概要 |
ことばを習得する以前の乳幼児と母親とのやりとりは、おとな同士のやりとりのように対等な関係を前提としていない。母子は、この非対称な関係を調整しながら、コミュニケーションを成立させている。本研究では,コミュニケーション成立に深くかかわっていると考えられる、母親による乳幼児の「代弁」に着目し。その縦断的発達を追跡する。今年度は、41組の母子について生後0〜6ヶ月の母子のやりとりを分析した。 被観察児・者は、東京近郊に在住する母子41組である。生後0、3、6ヶ月時に、各家庭を訪問し、母子の自由な遊び場面を、了承を得てビデオ撮影した。観察データは、被観察児・者の発声・発話と行為を書き起こした。母親の発話を、"誰の声としての発話であったか"、"誰の視点からの発話であったか"という点から整理し、「代弁」を抽出した。そして、その「代弁」を(1)子ども視点型の代弁、(2)母子視点型の代弁、(3)あいまい型の代弁(誰の視点かあいまいな発話)、(4)移行型の代弁(発話の視点が移行するもの)の4つに分類し、その縦断的変化を検討した。
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