本研究は、WWWを説得メディアとして捉えた場合の特性について、Hovland et al.(1947)以降、社会心理学で多くの研究成果が蓄積されてきた説得的コミュニケーション研究の文脈から検討し、基礎的な知見と研究枠組みを構築しようとするものである。平成12年度は、実験用PC(3台)を導入してローカルネットワークを構築し、その上で動作するWWWのナビゲーションパターンを記録、測定するためのソフトウェアシステムを、JavaScript等の言語を用いて開発した。当該システムは、刺激ドキュメント(群)と同時にオープンされる隠しウィンドウ内に設定されたコードによって、ユーザのハイパーリンク操作、すなわちドキュメント内のどのリンクを、どのタイミングでオープンしたかを逐次的に記録するように設計されており、ユーザがリンクされたドキュメントをどのような順番、時間(msec単位の計測を行うが、精度上は100msec程度と考えられる)で閲覧したかを測定することが可能になっている。またこれと同時に、ニュース文書などの刺激文の試作、および、WWW上で動作する、刺激提示後の質問データ収集のための回答集計システムの設計を併せ行った。今年度は上記の実験システム構築作業に加えて、認知心理学、システム工学の観点から行われているWWWナビゲーションに関する先行研究を網羅的に探索し、知見と問題点の整理を行った。平成13年度においては、本実験の実施および分析作業、論文執筆を遂行する予定である。
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