現代若者の生きたライフコースを、個別のデータとして収集するために、本年度は主に質的データの収集を行なった。具体的には、ある県立高等学校の卒業生について追跡してインタビュー調査を実施した。これは高校卒業時から26歳時までの、学歴・職歴の細かい情報と、進学・就職時の意思決定の様子を、対象者に語ってもらうものである。また現在の対象校を訪問して、進路指導の教諭、校長、校区内の中学校の教諭にもインタビュー調査を実施した。インタビューの総計は19名であり、時間にすると会話時間が50時間ほどになる。これらはすべてデジタル音声とデジタル画像として収集された。さらに対象県全県の教育の実情を知るために調査を繰り返し、学校基本調査のデータ、住民の人口移動のデータ、高等学校の同窓会名簿など基礎資料を収集することに努めた。そして、これらの位相の異なるインタビューデータを分析可能なようにテキスト化したり、データベース化して、本年度は主として一次資料の整理に努めた。現在はそれらの分析を開始した段階である。 次年度は、引き続き調査を継続するとともに、現在のこれらの分析を進めていく。この調査結果は、学会発表を行なったり、学術刊行物としたりして積極的に公表していく予定である。
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