中学生のソーシャル・ネットワークを実証的にとらえるために、平成13年10月〜12月に、福井県武生市と愛知県名古屋市の中学3年生を対象に質問紙調査を実施した。調査はクラス担任の指導のもとでの集合調査である。なお、ネットワークを測定する質問項目をつくる際には、1985年版のGeneral Social Surveyのネットワーク・クエスチョンを参考としている。 「接触頻度」と「(主観的な)親密さ」からはかる他者との関係性と、「中学生活意識」「職業意識」等の意識項目をつかって重回帰分析をおこなって結果、・「家族・親族」は地域性の別にかかわらず、現時点での社会化の主体である・「(友人等の)関係の強い他者」は予期的な社会化の主体であるが、地域性の別によって客体(中学生)の意識の分化程度がちがうとの知見が得られた。 また、研究代表者が以前におこなった高校3年生を対象とした調査の知見の比較検討もおこない、10代の社会化研究の可能性についてもさぐっている。そこからは、・中学生と高校生めどちらにおいても、「家族・親族」は現在の社会化の主体である・「(友人等の)関係の強い他者」は、中学生においては、将来の個人の志向レベルにはたらきかける社会化の主体であり、高校生においては、社会についての意識にはたらきかける社会化の主体であることがあきらかになった。
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