<研究の目的> 20世紀初頭にアメリカにおいて社会学が制度化される過程で、いわゆるシカゴ学派が果たした役割を再考する。なかでも本研究が焦点をあてるのは、1920年代にシカゴ大学内に組織された「地域コミュニティ研究協議会」(LCRC)であり、その組織のもとで行われた調査研究プロジェクトを通じて、R.パーク、E.バージェスを始めとする初期シカゴ学派社会学者と地域コミュニティとの間で結ばれた共同関係のあり様を検討する。最終的には、現代都市空間の原型としての「シカゴ」において、その空間編成の過程で社会学者が果たした役割を考察することを目的とする。 <研究の経過> 2年計画の研究の1年目として、今年度は、1920年代にLCRCのもとで刊行された出版物およびLCRCについて論じられた論文や資料を、シカゴ大学および関連施設で収集した。こうした資料にもとづき、LCRC後援の調査研究プロジェクト名および数、各プロジェクトの予算、関与する学科、人物、さらに各プロジェクトを支援する地域コミュニティ側の組織名や補助金額等を明らかにした。 また、LCRCのプロジェクトの成果として刊行された数多くのモノグラフのなかで、今回は特に『タキシーダンスホール』を取り上げ、その評価を試みているところである。 本研究の詳細な成果報告は、来年度の研究報告書で行う予定である。
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