マクロ的な視点からグローバリゼーションを対象化するならば、そこには普遍性と個別性のコンフリクトを見ることができる。しかしミクロ的に地域社会におけるグローバリゼーションを問題化するならば、多様性と普遍性というコンフリクトを見ることができる。地域社会におけるグローバリゼーションは多様性というグローバルスタンダードに立脚するものであり、これは地域性・伝統という地域的な普遍性との対立項として、地域社会に内における変動とコンフリクトの主要因として考えることができる。しかし、この変動とコンフリクトのあり方は一様ではない。特定商圏内における地理的位置づけ、明確な地域性・伝統の存在とその経済への関連付け可能性の度合いにより、幾つかのパターンに類型化されることが、本研究で明らかにすることができた。 具体的には本研究では生活圏拡大としてのロードサイド型消費圏の構成が、地域性・伝統性を希薄化させ、地縁的結合とは異なるNPOなどによるコミュニティ再編の過程を研究対象とした。こうした事例としての地域社会を確定するに際して、人口量・密度、社会資本の整備状況、地形などを指標とした幾つかの市町村を調査・観察対象としたが、これらの指標への偏りの違いに関わりなく、何らかの形で生活圏の拡大にともなう地域性・伝統性の希薄化とそれに起因するコンフリクトを見出すことが可能であった。このことから、地域社会におけるグローバリゼーションの影響を、特定商圏内における地理的位置づけ、明確な地域性・伝統の存在とその経済への関連付け可能性の度合いという指標により類型化し、それぞれの特性に基づいたコンフリクトの所在を明確化することができた。しかし、今後の課題として、マクロ的な国際関係にかかわるグローバリゼーションの問題とミクロ的な地域社会におけるグローバリゼーシヨンの間題の統合的解釈を確立することがあげられる。
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