環境NGO/NPOは、日本の環境政策にどのような影響を及ぼしてきたのか。また、高度成長期以降の生活環境の保護・改善を訴える住民運動はどのように変化してきたのか。本研究では、今日の環境NGO/NPOの源流としての住民運動に注目し、それが60年代の開発期から現在にいたるまでの環境政策形成にもたらしたインパクトを計量的に分析する。具体的には、環境NGO/NPOと環境政策に関する時系列的なデータを収集し、それをコード化して相互の関係を計量的に分析する。そのために、資料収集、データのコード化、データ入力=データべース化、データ解析の順に作業を進めていく。計画の遂行にあたって平成12年度は、以下のスケジュールにしたがって研究を行った。 1.資料収集、コーディング・マニュアルの作成(2000年4月〜10月) 1945〜95年の期間について、以下の資料を用いてデータを収集した。環境保護運動の動態(朝日新聞縮刷版、各都道府県公害・環境運動団体名簿、主要な環境保護団体のミニコミ)、環境政策の供給(環境庁監修の地方環境年表、公調委記録、官報など)。それとともに、データをコード化して入力するためのマニュアルを作成した。 2.分析モデルの確定、資料のコーディング(2000年11月〜2001年3月) 環境政策に対する需要が環境政策の供給をもたらすとする需要供給モデルに基づき、分析モデルを確定する。つまり、運動の規模・争点・戦略・地域的広がりが、環境政策の供給に対してどのような影響を及ぼしたのかを明らかにする。この需要供給モデルに沿った形で、環境保護運動のデータ(団体数、イベントの件数、日時、場所など)、環境政策のアウトプット(条例・協定など)をコード化する。コーディングには一定の熟練を要するため、申請者及び大学院生・学部学生の研究補助者が全員で合議のうえで行った。
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