1 設立事情で3タイプに分ける。1)育児サークル型、2)病院主導型、3)市民運動型。1)が最も多く、組織として次の自然史を辿る。アレルギー患者の子どもを抱えた親同士が治療、食物、調理、保育園・幼稚園、小中学校といった、共有する関心事・悩み事について情報交換の場として活動を始める。会員数が増加するにつれて、定期的に会報誌を発行し日時を定めて例会を開催するようになる。設立当初は例会に参加する会員が中心だが、居住地域分布が拡大するにつれて会報誌のみ購読する会員が中心となる。運営が組織化していき、スタッフと一般会員の分化が生じる。子どもが成長するにつれてアレルギー疾患は落ち着く傾向があり、一般会員の入退会は激しい一方、スタッフは固定化され、後継者の養成が運営上の課題になってくる。2)3)のタイプは最初から組織化が進んでおり、1)のような自然史は辿らない。2)は自病院の患者への便宜を図る性格が強い。3)は医師等の専門家グループが中心となり、行政への働きかけを目的として明確化していることが多く単純に「患者」会と呼べない。 2 アレルギー患者会が自らをいかに定義しているかについて、定義内容よりも、定義行為が分析対象になる。設立目的・経緯の説明自体をその会の活動戦略の一環としての言説としてみることができる。1)タイプの会は目的・経緯が設立時点では曖昧であり、数的規模を拡大する意図をもったときに始めて明文化される傾向がある。2)3)タイプは当初から明文化されている。行政(厚生省、都道府県、市町村)への働きかけの際に、その会が要望書や請願書を提出する正当性を訴える武器として目的・経緯が用いられることがある。活動史などもその機にまとめられることになる。対外的活動が増すにつれ、対内的な連帯感を高める意図で、目的・経緯を再確認する行動が生じることがある。同じ意図で逆に、目的・経緯をぼかすこともある。
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