本年度は、中山間地域の人々が自らの地域をどのように活性化させようとするか、その実践をフィールドワークと、一次資料から見る言説などで分析を試みた。 まず8月のサマートンネルハイクというイベントでは、村人が既存の資源であるトンネル跡を開放する、という方法で、村外から広くイベント参加者を集める事に成功していた。その際、鉄道跡ということで、鉄道ファンの情報ネットワーク、映画撮影地ということで映画ファンの情報ネットワークを利用し、多様な人を集めていた。 これは一つのモノ(この場合はトンネル跡)であっても、それに多重的意味を与えることによって、豊かな魅力となるということであり、一つの優れた活性化戦略といえる。またこれを村外生活者の視点から明らかにするため、村人の葉書上の言説を検討したところ、ムラは「自己」と「対象(自然等)」という2つのポイントから語られており、その2つが交錯する「体験・交流」は、最も魅力的なものとして語られていた。このように、意味と情報ネットワークに着目した中山間地域活性化戦略は非常に有効であろうと考えられる。
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