研究概要 |
今年度は、以下の二点を行った。1.高齢期のライフスタイルについて、調査の枠組、仮説を構成すること、並びに、これに基づく、2.日本での、高齢期のライフスタイルに関する調査の実施である。 これまでのライフスタイル論は、価値を重視し、個々人が利用可能な生活資源、これに関する個々人の処理態度について十分に注意を払ってこなかった。しかし、ゴールドプラン、介護保険制度の施行による地域の高齢者保健福祉資源の増大、一方での家族の変化に鑑みて、高齢期の暮らしを見る上では、生活資源に注目する必要があることを論じて、論文としてまとめた。(研究発表欄参照) 次に、これに基づいて、高齢期のライフスタイルに関する調査を実施した(「高齢期の暮らしに関する国際比較調査」)。対象地は、高齢者にライフチャンスが十分にあること、及び国際比較の対象地であるフィンランド、トゥルク市との比較可能性を重視して選択をした。具体的には、子供との同居可能性の高さ、また2001年春から実施された介護保険制度による事業所の参入の多さ、また医療施設の多さを重視し、これらの条件の整った都市として政令都市に注目し、産業構造、及び年齢構成、人口の増減率の諸点において、比較都市であるフィンランド、トゥルク市と最も近い特性を示す都市として、京都市を取り上げた。さらに、京都市の特徴を最も代表している北区を調査対象地として決定した。ここで、65歳〜74歳の男女1,000名(男性169:女性:531)をランダムサンプリングにより抽出した。3月21日を締め切りとする郵送調査の回収率は、3月22日現在、599票となっている。 同じ規格によるフィンランド、トゥルク市での調査は、本年2001年9-10月に、トゥルク大学社会政策学部ヘイッキ・エルヴァステイ教授の協力を得て、実施されることが決定している。
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