平成12年度は、まず、ホームヘルプサービスに関連して、これまで行われた研究の文献や資料を収集し、内容の検討を行った。その結果を参考に調査票を作成した。本研究では、ホームヘルプサービスの利用者本人とその家族の両方に対して調査を実施することを目指していたが、身体的機能が低下したサービス利用者本人がどの程度回答可能か不明であり、調査中、介護者である家族が同席して本人の回答に影響を与える可能性がある。この点について検討するため、都内の一区において実施された65歳以上の高齢者の訪問面接調査において、調査後、調査員に、面接中の対象者の状況について尋ね、その結果を、対象者の日常生活動作能力(食事・着替え・入浴・排泄)の観点から整理した。健康状態の悪い高齢者の多くは調査自体に協力できなかった割合が高いが、調査員観察の分析は、協力できた場合でも、データの質や対象者の負担の点で問題がないか確認する目的で行われた。協力者中、日常生活動作に困難のある対象者の場合、「同席者なし」の場合は40.4%、同席者がいた場合、「対象者の答えを直したりさえぎったりした」が17.0%、「じっと聞いていたが、口ははさまなかった」が25.5%、「対象者の答えにはほとんど注意を払っていなかった」が4.3%、「全く影響なし」が12.8%であった。日常生活動作に問題のない対象者の約8割は同席者がいなかったことを考えると、サービス利用者となる可能性の高い日常生活動作能力の低下した対象者の場合は、同席者からの影響をある程度受けることを想定して質問を作成する必要がある。また、調査員から見て、日常生活動作に困難のある場合も約8割は調査への協力度が「非常に良かった」または「良かった」と評価されたが、その人たちの質問に対する理解度は、「あまり理解していない」のは5%弱にとどまったものの、「非常に」「よく」理解している人も半数程度で、理解力にやや問題が見られた。
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