本年度の研究計画は、(1)アメリカの教育施設配置に関してその現況と議論を明らかにする、(2)チャータースクールの運営実態について文献研究と質問紙調査を行う、(3)日本における教育施設配置に関して質問紙調査と事例研究を行う、であった。 これに基づき、(1)と(2)については、行政主体である学区が、公立学校ならびにチャータースクールをどのように配置しているのか、文献やホームページに掲載されている資料から情報収集を行った。その成果を生かしつつ、ロサンゼルス統合学区をフィールドとして、公立学校一校、チャータースクール二校の実態調査を行った。 (3)の日本における研究に関しては、教育雑誌等に紹介された複合施設の情報収集を行い、使用状況等について、関係者に対してヒアリングを行った。複合施設の建設は、徐々に広まりつつあるが、それが有効活用されているところはまだ少ない。運営がうまくいっている事例としては、青森市の学校と図書館ならびに公民館の複合施設があった。これらの成果をもとに、宮城県中田町の学校再配置施策に対して政策提言を行った。 以上の研究に関連し、日本教育政策学会第七回大会の公開シンポジウムにおいて報告を行った。アメリカの学校選択制による多様な教育施設配置の現況と、日本の地方教育行政においても、福祉領域との再編を行いつつ、施設の再配置と利活用が必要であることを指摘した。
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