本年度の課題は、第一に、国立大学の財政資源配分システムの構造と機能を分析するための枠組みを検討するために国内外の高等教育財政の文献をレビューすること、第二に、国立大学財政の歴史的な分析のための資料収集を行うこと、第三に現在の国立大学の資源配分に関する分析のためのデータの収集につとめることであった。第一の課題については、文献の収集と整理を通じて、自主性原理と効率性原理、目的や使途の限定性、配分における主導性の所在などの観点から、大学の資源配分システムの枠組みの検討を行った。 第二については、戦後の国立大学財政に関する学術論文、エッセイ、実態調査研究、官公庁出版物、国会の議事録等を収集し、整理した。国立学校特別会計制度の成立についても調べた。 第三については、国立大学財政に関する調査、特に90年前前半に行われた大学の研究環境に関するいくつかの実態調査、国立大学教官への調査等については、可能な限りデータを入手し、データーベース化した。また、『国の予算』、『科学技術研究調査報告』などのデータを入力し、マクロな動向を分析した。また、幾つかの大学で大学内の財政配分の現状を調べた。 次年度にはこれらの検討を基礎に、さらにミクロな資源配分に関する実態の把握に努め、国立大学の財政資源配分の全体像を明らかにする。
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