研究概要 |
本年度は,課題1「通常の学級の児童の認知処理特性と学習特性を考慮した学習指導の効果の検証」についての研究に取り組んだ。 ここではまず通常の学級に在籍する児童の認知処理特性をK-ABC検査を利用して,学級の児童が同時情報処理と継次情報処理のそれぞれについていずれを優位とするかの特性を把握することとした。 千葉県内の小学校に在籍する2年生23名を対象に検査を実施した。 当初の予想でも,両者に有意差が認められない児童が一定数いることは予想されたが,想像を超えて両者のバランスがとれた児童が多い結果となった。 これとは別に過去3年にわたって1年ごとに検査を実施してきた通常学級に在籍する,特に障害をもたない児童の個別プロフィールからは,同時情報処理と継次情報処理の両者のバランスが次第に均衡してゆく傾向が認められた。 サンプルに不足あるいは別の要因が関係している可能性を確かめるために兵庫県の小学生19名を対象に検査を実施した。しかし,そこでも同様の結果が得られることとなった。 本研究の計画では,同時情報処理と継次情報処理のいずれかを得意とする傾向をふまえて,学習指導のグループ編成や教材に工夫を行う予定であったので,課題1の成果が得られないと以降の課題に着手することができない。 研究に遅れが生じてしまうが,13年度は通常の学級に在籍する対象児童への検査に加えて,「学習への意識に関する調査」を作成実施し,これをグループ編成の参考情報として活用するように研究計画の修正を検討している。 13年3月現在,同調査の作成と実施計画の検討をしているところである。
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