本年度は、昨年度から続く2年間の研究の最終年度にあたり、引き続き理論研究と事例研究とを並行して進めてきた。 理論研究については、1)成人教育研究・高齢者学習関連の文献を手がかりとしながら学習者組織もしくは学習と社会参加との関連のとらえ方を整理し、2)福祉・医療や心理学関連の文献のなかから当事者組織(セルフヘルプ・グループ)、特に組織運営の面に関する理論枠組みを抽出・整理し、さらに3)組織学習論をはじめとする組織経営学の枠組みを整理するという作業を前提に、各領域の理論枠組みを比較検討しつつ進めてきた。 また、事例研究については、社会教育施設における高齢者対象事業を分析の対象として選び、担当職員や事業参加者へのヒアリングを中心に調査をおこなった。この事例研究は、理論研究を通じて得られた分析枠組みの有効性を検証するためのものであったが、上記の分析枠組みが高齢者の学習活動だけでなく社会活動に対しても有効性を持ちうるかを検証するため、老人クラブ関係者にもヒアリングをおこなった。 最後に、理論研究および事例研究の成果を報告書にまとめ、提出した。
|