近年、個々の学校の裁量の拡大と学校監督の緩和を意図して多くの州で学校法が改正されるとともに、様々な学校実験、共同プロジェクトが実施され、その成果を踏まえて、さらに法制度の整備が行われている。これらは「学校法の新世代」ととらえられ、「自律的学校」のための制度枠組を形成しており、その中核に「学校プログラム」の形成・実施・評価が位置づけられている。 こうした政策は、教育領域への経営学的視点の導入と教育の質の保証という2つの流れから導かれたものであり、この2つの軸を同時に保証するための「道具」として学校プログラムがとらえられている。学校プログラム構想を規定する根本概念は「説明責任」であり、これが必然的に「評価」を要求することから、学校プログラムと学校評価は、「新たな学校政策上の統制パラダイム」(N.マリツェン)と認識されている。学校プログラム導入により、学校の営みをマネジメント・サイクルにおいてとらえる視点が明確化し、学校内外における学校の活動の評価と報告の基盤が形成されることとなり、これによって質の保証を確保するという構想であった。 こうした政策の実施にあたって鍵となるのが、教員の協働のあり方であった。教員が自ら「学習する」組織の形成が意図され、そのための制度の構築が現在も模索されている。「すべての関与者の行為を整理して関連づけ、結果を公表し、共通の点検の対象とするという前提から出発する新たな同僚制」(E.リッセ)と呼ばれるものの内実が求められている。そしてこれはまた、教員の「チーム能力」開発の問題ともなる。 学校実験や共同プロジェクトにおいて、教員の動機づけを高め、協働がうまく機能している事例もいくつか明らかになっており、それらを個別に、詳細に検討することが必要となる。
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