今年度は「学枝開発」の方法に関して、次の2つの作業を進めることができた。 第一に、「学校プログラム」および学校評価に関する事例研究および政策研究である。ドイツの「学校開発」において「学校プログラム」と学校評価とは密接な関連を有しながら、重要な要素として「学校開発」のプロセスの中心に位置づけられている。学校の自律性拡大とともに、近年では、「学校プログラム」と学校評価に関する新たな政策が各州ごとに導入されつつあり、各学校で実践が進められている。現時点では、まだ試行段階にある州も多く、重要な動向として今後も注目していく必要があると考える。今年度は、まず「学校プログラム」や学校評価の位置づけとともに「学校開発」の州レベルでの政策に関する知見を得ることができた。 第二に、「学校開発」における校長のリーダーシップに関する事例研究および政策研究である。ドイツでの「学校開発」は州ごとの独自性が特色の一つとなっており、「学校開発」における校長のリーダーシップに関しても、校長研修などにおいて州ごとの独自性と多様性が見られる。なお、この点に関しては、研究成果に対して指導・助言をいただいたドイツのシュテファン・ゲルハルト・フーバー先生から、米英等での理論研究や政策研究を視野に入れる必要があることを指摘されたことから、今後は幅広く、こうした研究にも目を向けていきたいと考える。 この2年間の研究をとおして、ほぼ当初の計画どおりに、ドイツにおける「学校開発」の理論とその具体的な方法に関する知見を得ることができた。近い時期に、論文等により、その成果を公表したいと考えている。
|