教育改革のキーパーソンである校長職の資質力量を向上させるための人事行政(資格/選考/研修)のあり方を検討し、そのプログラム開発を推進するために、本年度は以下のように研究を展開させた。 まず、校長職の研修ニーズを把握するために、予備調査として福岡県内K教育事務所の小学校長に対する悉皆アンケート調査を実施した。これにより校長自身が期待する理想の校長像(資質力量)、そのための人事方策、研修のあり方、さらには経営実践哲学などが方向として浮きぼりになった。この予備調査結果は研究代表者が勤務する大学紀要に研究ノートとして整理している(福岡教育大学紀要/教職科編/51号)。 次に、この予備調査結果を受けて、福岡県内(2政令指定都市、3教育事務所管内)の小中学校長767名に対するアンケート調査を実施した(学校管理職のための人事行政のあり方と研修ニーズ(教育系大学院の役割)に関する調査)。調査対象は福岡教育大学の所在する宗像市から通勤可能圏内に限定したが、それでも教育大学の夜間大学院でのOJT(通学)は学校現場の状況からかなり困難であること、また大学院(現職研修)に対するニーズが多様で、一元的なプログラムのパッケージでは対応できないこと等が示された。 今後の研究を進展させる方向として、個人の力量開発に特化させるのではなく、学校をまるごとブラッシュアップするような組織学習型の研修プログラム開発が課題となった。
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