本研究では、戦前期からの伝統を持つ共学大学において、新制大学以降の卒業生が大学文化からいかなる影響を受け、卒業後、いかなる同窓生ネットワークを形成しているかを最終的に明らかにすることを目的としている。同時に、戦前期に男子教育機関として成立し、伝統的に男性文化を継承してきた大学文化および同窓生集団内において、男子卒業生や女子卒業生の文化適応やネットワーク形成にいかなる同一性と差異が見られるのかもあわせて考えていくことを第二の目的としている。 次年度の調査実施に先だって、本年度は、関連領域の文献資料の収集と整理および、これまで行われてきた類似の調査のレビューを行った。文献資料の収集・整理を行ったのは、(1)高等教育研究、(2)学校文化研究、(3)ライフコース研究、(4)ネットワーク研究、の各領域と、(5)ジェンダー研究、(6)集団形成と権力に関する研究、の各領域である。 過去の調査のレビューとしては、本研究が調査対象とする大学を対象とした既存の卒業生調査を再分析し、次年度に実施する調査の課題抽出を行った。また、他大学で行われた卒業生調査の結果を収集し、とりわけ卒業生がどのような社会的ネットワークを形成しているかをレビューした。同時に、先行研究において類似の同窓会調査が行われている高等学校の資料館訪問と資料収集、関係者への簡単なヒアリングを行い、強固な同窓生ネットワークがいかにして形成されたかについて考察を深めた。
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