本研究では、高等教育、特にいわゆる文系学部におけるアカウンタビリティに関する理論研究と主にイギリスにおける高等教育機関のアカウンタビリティ遂行に関する比較研究を試みている。 理論研究については、アカウンタビリティ概念の広範な定義を踏まえて、特に教育政策評価に関してアカウンタビリティ遂行の理論的課題を検討した。特にいわゆるarts and science系の文学部(人文学部・教養学部)の場合、各学問領城ごとに研究形態の違い、研究成果として現れる成果の違いが顕著に存在し、学部としての単一の基準を設定することの困難さが指摘されている。また、教育機能に関する説明責任についても、依然として何を習得させることがliberal artsにとって必要なのかに関する議論が錯綜している。とりわけコア・カリキュラムの作成については、案はいくつかすでに提案されているが、実際に機能しているのは少数の事例に限られ、学問領域特有の問題が依然として克服されていない。なおシラバスの作成とウェブサイト上での公表については、増加する傾向が明らかであり、これについては拙HPにてリンク集を作成・公表している。 比較研究については、主にイギリスの大学評価に関する情報を収集し、分析を試みた。2001年12月に2001年度研究評価の結果が公表され、人文社会系及び教育学系のいくつかの学問領域でも結果が公表されている、本研究評価が実際の研究に関する公的資金の分配の指標とされることになり、例えば教育学では83大学(うち2大学はオープン・ユニバーシティ)のうち、最高の評価5*を受けたのは、カーディフ大学とブリストル大学の2大学、評価5はケンブリッジ、オクスフォードなどの12大学で、これらの大学は相当の研究資金を受けることができる一方、8大学は評価2、1大学は評価1とされ、研究のための公的資金を受けることができない。
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