地域子育て支援活動における育児相談が保育者に及ぼす効果を検討することを目的として2年にわたる研究の初年度である。初年度の取り組みとして、養育者の子育て困難を保育者がどのように理解するか、保育所における子育て支援の特徴を明らかにするために、(1)養育者の子育てに対する考えや不安がどのようなものであるかを検討する相談内容の事例分析、(2)相談窓口とそれぞれの相談内容を明らかにする質問紙調査、(3)子育て支援の具体的取り組みの参与観察を行った。 育児相談の内容と特徴については1997〜1998年度の電話による相談について分類した。分類は日本保育協会の「電話相談利用状況」の相談区分とあわせて検討し、分類項目の若干の変更を行った。その結果、現代の親に特徴的であると考えられる相談として、(1)遊び、(2)子ども受容、(3)見通しの持てない不安、(4)体罰(虐待)、(5)親同士の関係、(6)保育者・教師との関係、の6項目を新たに設定する必要があると考えられた。これらは現代の親の姿を明らかにすると共に、今後の子育て支援の方向を示唆するものである。 相談窓口については、多くの機関が子育てに関する相談窓口を設けていることが明らかになった。ただ、これらの相談窓口は機関や行政組織などによって分断化されており、各機関がそれぞれの専門性を生かしながら相互に関与しあい機能しているとは言えない状況がある。これらの相談窓口、専門機関のネットワーク化の必要が感じられる。 子育て支援の具体的取り組みでは、活動に対する養育者の参加形態によってその機能を分類することができると考えられるが、さらに詳細な検討が必要で、現在検討中である。 また、現在、養育者の育児負担感に関する質問紙調査を子どもの気質に関する調査と合わせて実施し、質問紙を回収中である。
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