研究概要 |
子どもの社会的発達への適切な援助には,個々の子どもをどのように捉えるかという保育者の幼児理解力が前提となる。しかしながら今日なお,幼児理解力の深化を図る有効な手だては示されておらず,保育者個人の実践における長期的な試行錯誤(経験の蓄積)に委ねられている。そこで本研究では,現職教師および教師志望学生が自らの幼児理解力の省察や深化を図ることができるよう,具体的な評価法を提出することを主な目的とした。他方,大学・短大入学者の資質能力の低下が問題となる中で,逆に教師志望学生に求められる資質能力は増すばかりである。日々の養成校における授業実践の質的改善を如何に図っていくか,FDの視点から1つの具体的な方策を提案したいと考えている。 本研究の目的に即して本年度は,主に基礎的データ収集及び文献の整理を行った。具体的には,主に教育実習中の教師志望学生らの幼児理解行動を観察,記録(録音・録画)した。またあわせて学生らを対象に質問紙調査を実施し,幼児理解力の自己評価,エピソード等の基礎的データを収集した。さらに,幼児理解力の深化・向上を志向する具体的な評価法の検討を,国内の研究者,保育者から専門的知識の提供や指導助言を受けながら進めた。これらと並行して内外の関連文献の収集・整理を研究補助員とともに進めた。
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