私的病院における「組織文化」指標の開発 2年前実施した福岡県私設病院協会加盟病院へのインタビュー調査と、現在実施中の福岡県下にある一私的病院におけるエスノグラフィー調査、国立医療・病院管理研究所が実施した病院長と事務長に対するアンケート調査から得られた情報を元に、私的病院における「組織文化」の特徴を顕著に示す項目を選別し、私的病院における「組織文化」指標を開発した。主な項目は、病院の理念、非営利組織としての運営方針、病院の発展形態、職員満足、経営者の伝統意識等に関する項目である。組織文化指標の開発については、国立医療・病院管理研究所及び福岡県私設病院協会の協力を得ている。また、アンケート調査の結果については個票の公表はしない。 病院長へのインタビュー調査の実施 機能別に特徴のある病院を選定し、全国の20病院を対象に、病院長および病院のキィパーソンに対するインタビュー調査を現在実施している。病院の発展経緯の詳細を把握し、医師としての理想、院長交替・後継者選択の理由、親族構成など、医家の伝統についての見解を問い、また、病院の現状と院長としての今後の運営方針を確認した。インタビューに際しては、被調査者のプライバシーを尊重し、不利益を被らない旨を伝え、同意を得ている。 病院理念の分析 2年前実施した私的病院へのアンケート調査、国立医療・病院管理研究所が実施したアンケート調査、さらに、インターネット検索した全国の病院ホームページから、病院の理念を計379件収集し、その内容についてのパターンと傾向を、理念三分類に基づいて分析した。 研究成果の発表 以上の分析と、昨年度の定性分析から得られた成果をもとに、病院の組織文化の形成と変容過程のパターンを検証した。さらに今後は、全国の傾向と、福岡県の地域特性に基づいた特徴を踏まえた上で、私的病院の発展の方向性についての提言を行う。現在までの研究成果は、長谷川敏彦編「病院経営戦略」(医学書院、2002)のII-1-2.「病院の歴史」、II-2-1.「部門別課題」、IV-3-1.「人事管理」、V-1.「理念実例」、および「ケアの道程:ケアの関係性が変わる」(病院60(6)、2001)において発表した。
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