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2000 年度 実績報告書

明治国家とアイヌ社会の史的研究

研究課題

研究課題/領域番号 12710175
研究機関新潟大学

研究代表者

麓 慎一  新潟大学, 教育人間科学部, 助教授 (30261259)

キーワードアイヌ / 北海道 / 明治政府 / 旧土人保護法 / 開拓使 / 民族 / 同化 / 樺太
研究概要

今年度は、アイヌ政策の審議過程と実施過程について史料を収集し、分析した。以下の三つの文書群を撮影して検討した。第一に、国立公文書館所蔵の『公文類聚』等の公文書の検討である。第二に、北海道大学所蔵のアイヌ関係史料の検討である。特に、北海道庁長官の北垣国道の日記(『塵芥』)や『旧土人陳述書』の分析によって、旧土人保護法の形成過程の一部が解明できた。さらに、『十勝外四郡関係書類』等によって、アイヌの共有財産問題が、明治政府のアイヌ政策に大きな影響を与えていることが推定できた。第三に、国立国会図書館憲政資料室所蔵の原家(北海道庁長官)文書や杉田(北海道長官)の史料を分析し、旧土人保護法の施行過程の解明に着手している。
これらの分析から、特にアイヌに対する土地の給与が、旧土人保護法によって初めて実施されたのではなく、すでに実施していた政策を強化したことを解明した。さらに、アイヌへの勧農政策が、アイヌの飢饉を契機として実施されたものの、農業の奨励によってアイヌの生産基盤を強化するのではなく、農業を通じて精神的な同化を意図していたことが判明した。したがって、アイヌに対する土地の給与面積が和人と比較して狭隘だったことや農耕に不適当な場所が選定されたことなども政策の意図に合致していることが推定できた。これらの事実は、アイヌ史の通説を大きく変えると考えられる。
さらに、アイヌに対する諸政策が、アイヌの生活をいかに改変したかなどの実態について検討を加えたいと考えている。アイヌ政策の意図とその実態をトータルに把握して明治国家とアイヌ社会の関係を解析する基盤を形成することができた。

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公開日: 2002-04-03   更新日: 2016-04-21  

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