研究概要 |
1.史料調査 (1)国内:大阪市立大学文学部、広島大学文学部、桃山学院大学文学部、摂南大学国際言語文化学部で史料等を調査した。 (2)オランダ:王立言語学人類学研究所および国立公文書館で史料調査を実施した。 2.研究発表 12月2日東南アジア史学会研究大会において「初期アンボン同盟とアンボン地域情勢について-1923年を中心に-」と題して中間報告を行った。 3.研究成果 従来1910年代後半から20年代はじめのアンボン情勢については、「国民東インド党とアンボン同盟を中心に、インドネシアナショナリズム運動が普及したが、植民地当局の弾圧を受けて下火になった」、と見られていた。しかし実際の状況は以下の如く異なっていたことがわかった。 国民東インド党やアンボン同盟の中央指導部は、アンボン地域でのインドネシアナショナリズムの普及を目指したが、地域社会では官吏や村落首長,教師,牧師など地域エリートや村落住民の多くが、政治経済社会全般にわたる近代化を目指しており、彼らはナショナリズム政党に参加するなどこれと協力する一方で、植民地当局の行政近代化政策とも協調し、労役の縮小,学校の増加,議会的制度の導入などを実現した。その後のアンボン同盟の挫折は、地域社会の近代化運動が、植民地支配との協調を維持するために、急進派を排除しようとした結果であり、その後も地域近代化運動は大筋変化無く発展を続けたのである。
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