本年度は(1)経済成長と欧州統合の関係(2)戦後西欧の国際システムにおける欧州統合のメカニズム(3)ヨーロッパレベルでの欧州統合支持派のトランスナショナルなネットワーク、の3点に関して、予定通りフランス・イタリアでの2度の史料収集、史料の分析、関連する研究書の収集を行った。この研究による注目すべき知見は以下の通りである。 (1)欧州政治共同体と欧州統合運動 50年代の欧州統合の政策過程における連邦主義的な欧州政治共同体の実現に参集した超党派的な政治家のネットワーク(欧州統合運動)の重要性を明らかにした。(平成13年度『史論』(東京女子大学)に論文掲載予定) (2)欧州審議会とヨーロッパ文化 従来等閑視されてきた欧州審議会は、「ヨーロッパ的価値観、文化、民主主義」をその加盟条件とし、むしろ欧州統合の根底にあるアイデンティティ・政治的な価値観を具体化した組織であったことを明らかにした。(『国際政治』129号特集「国際政治と文化」投稿予定) (3)経済成長とアメリカ 経済成長期におけるアメリカ的な経済および経営モデルのヨーロッパレベルでの導入により、各国経済の収斂・一体化を促した点を解明した。 (『アメリカナイゼーションの国際比較』に掲載予定)
|