• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2000 年度 実績報告書

物語テクストにおける事態の再現性と文法的文彩の表現効果について

研究課題

研究課題/領域番号 12710225
研究機関滋賀大学

研究代表者

甲田 直美  滋賀大学, 教育学部, 助教授 (40303763)

キーワードテクスト世界 / 時間経験 / 空間領域の認識 / 概念体系 / 接続詞 / 発話時現在 / 文脈 / メタファー
研究概要

テクスト世界における時と場所(場面)の構成において,事態や体験がどのように再現されているか,現実世界の時間経験や空間領域の認識とは異質な現象も含めて考察した。また,(主体にとっての)ある空間領域の認識が,体験されている空間の記述に,どのように投影されているか考察を進めた。一つの語が持つ複数の共時的意味は,メタファーを含む私たちの概念体系を基盤にして歴史的に獲得されたものである。時間の表現から因果の推論には,時間関係から因果関係へのメタファーが根底にあって,それによって時間における事態の連鎖が因果関係における事態の連鎖を示すのに比喩的に使われる。また,添加・並列を表す接続詞には,場所や空間における位置関係から転じて出来たものが多い。もともと空間における位置関係を表す表現が,どのように意味を拡張して談話内で文脈の関係を表すようになったのか考察した。空間における位置関係の表し分けが,これらの添加・並列の接続詞の用法の違いにも反映している。並列の接続詞が前件を述べる時間と後件の時間とは展開しておらず,判断の列記である。時間が展開し,過去,現在,未来をもつのは動詞であるから,述語動詞を伴う句や節とは異なり,典型的に語の関係において時間は展開しない。前後関係から因果関係の判断を読みとることは起こりやすいが,単純な語の関係から時間や判断を読みとることは出来ない。判断性を多分に含む順接や逆接の接続詞は,語における関係を表し得ない。判断が発話時現在において下されるものとすれば,時間的に展開しない関係では判断と関わることは出来ない。日本語の「この上」「以下」などの表現では,文脈の前後を示すことは出来ても,時間の展開は許さない。時間の非対称性が,一次元のみを前提とする前後からのみ表現させるのである。

  • 研究成果

    (2件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (2件)

  • [文献書誌] 甲田直美: "複合事態の解釈における文脈効果の復元について"滋賀大国文. 38号. 105-116 (2000)

  • [文献書誌] 甲田直美: "自然論理と形式論理"滋賀大学教育学部紀要 人文科学・社会科学. 50号(印刷中). (2001)

URL: 

公開日: 2002-04-03   更新日: 2016-04-21  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi