本研究は、近世期の家集を、後々データベース化する為に、近世期の家集の全体像を把握し、書誌情報を取りながら、幅広く資料収集を行っていく事を主な目的としている。 本年度は平成十二年度の実施計画の中で挙げた調査予定の文庫の内、内閣文庫蔵『老木拙蕚集』『曲妙集』『秋葉愚草』『蜑囀』、『内匠守源長勝集』、国会図書館蔵『先考御詠』、京都大学付属図書館中院文庫蔵中院家代々詠草、陽明文庫蔵近衛家代々詠草、大東急記念文庫『武者小路実岳詠草』などを中心に資料調査を行った。特に、中院文庫、陽明文庫など、公家の家集がまとまっている文庫については、周辺資料の調査も同時に行う事によって、なるべく文庫としての全体像を把握した上で家集を網羅的に見るようにつとめた。近世期の堂上歌壇を把握する上で、中院家及び近衛家の役割は非常に大きなものがあると考えられる為である。 来年度は、本年度に訪書出来なかった宮内庁書陵部、神宮文庫や、祐徳稲荷中川文庫、愛媛大学付属図書館鈴鹿文庫などを順次調査していくつもりである。 また、同時に、近世期家集の所在の調査をも続行し、新たな文庫に調査を及ばすつもりである。 更に蔵書目録から、近世期家集と思しきものをなるべく拾っていき、全体像を把握していく作業も続けていきたい。
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