今年度は次年度に本格的に着手する個別言語間の対照研究の基盤を整えるために、以下の三つの作業を行いました。 1 言語データ及び先行研究の収集:既にある程度の蓄積があるハワイ語とサモア語に加えて、タヒチ語、トンガ語、トケラウ語、クック諸島マオリ語、イースター島語等のいろいろなポリネシア諸言語のデータを収集しました。その際には、国内の東京大学図書館、名古屋大学に資料収集のための出張を行った他、日本では入手が困難な資料を収集するために海外出張を行い、ハワイ大学図書館、ハワイ・印度太平洋語学科等でタヒチ語を始めとするポリネシア諸言語等のデータを入手し、また、関連した先行研究を複写し、持ち帰りました。 2 データベースの作成と分析:謝金による研究補助を雇い、上記1で得た言語データ・資料等をコンピュータ入力し、それらをデータベース化しました。次年度はこのデータベースを活用して、個別言語の分析作業を継続し対照研究へと進めていきます。 既にデータがある程度そろっていて、また、同じポリネシア諸語の中でもタイプが比較的異なる二つの言語、ハワイ語とサモア語の数詞文から分析に着手しました。そのうち、ハワイ語については、従来十分に触れられていなかった、数詞接頭辞について分析を進め、二つの異なる数詞接頭辞の機能について仮説を提示し、論文として投稿しました。(近々公刊予定です。) 3 次年度に完成を目指している研究成果のまとめとしての資料集付き研究報告の土台とするために、言語データ、資料を効率よく整理しながら作業を進められる様式を検討しました。各種のデスクトップパブリッシングソフトやデータベースソフトを購入し、比較検討を行い、今後用いるだいたいの雛型を作成しました。
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