研究計画に沿って、合併規制の手続的問題の研究を行った。特に日欧米を問わず、独占禁止法(競争法)による合併の規制が事前届出・審査段階から、それより前段階である非公式な事前相談段階(行政指導)へと移りつつあることに注目して、問題点及び改善の為の政策的提案を検討した。その成果の一部は、著作「合併規制と効率性の抗併」の一部としてまとめることができた。事前相談段階では、合併の望ましい効果(生産上の効率性)を確保しつつ、競争制限効果のみを排除する規制手法を採用しやすい。ただしこのようないわゆる条件付承認の有用性は、(1)客観的な実体的規制基準に基づき、かつ(2)透明な手続に従うことが必要である。上記研究成果では、この2点を米国法との比較法研究から明らかにすることができた。そして今後の分析視点として、特に合併分析の違法性判断基準を客観化していくことが必要であることを、深く認識することができた。
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