研究概要 |
研究の前段階として、今年度は、データの収集加工と基礎的な計量分析に基づくFact Finding分析を行った。中心となったのは、Statistics Canadaの貿易データを加工した、"World Trade Flows,1980-1997"CD-ROMによる国別産業別貿易データと、旧大蔵省の対外直接投資の国別産業別データによる、日本の輸出入と日本企業の対外直接投資行動の動向である。まず、グラフによる分析で大まかな動向を見たうえで、同じモデルの枠組みで分析できるように両データの加工を行うとともに、私の今までの論文で既に用いている、Gravity Modelを応用しTobit Modelを改良した回帰モデルを用いて、初歩的な計量分析を行った。もうひとつの大きな柱である特許ライセンスについては、今年度はデータを分析・加工するにいたらなかったため、完全な形でのFact Finding分析は行なわれていない。 2000年9月にBoston Universityを訪問し、以前の指導教官・共同研究者であるProf.Jonathan EatonとProf.Samuel Kortumに、貿易・直接投資についてのAggregate Dataによる分析を示すとともに、貿易・直接投資・特許ライセンスの選択と経済成長に関するマクロモデルの構想を発表し、有益なコメントと支持を得ることが出来た。また、同月に開催された、NBER他主催によるJapan Project Meetingに討論者として出席し、日本の直接投資に関心のある日米欧の研究者と意見交換を行うことが出来た。これらの機会を通じて、理論分析については、以前からの懸案であった日本の対内直接投資をも視野に入れた分析と、製造業のみならず非製造業についての分析をも取り入れたマクロ分析の可能性に対して確かな手ごたえを得ている。
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